仙石原の家

(2006年10月竣工)

作品写真(撮影:GlassEyeInc. 海老原 一己)2006.11.18

豊かな自然環境の中にあるこの敷地は、境界に沿って防風林のように取り囲む大きな杉の木々が、ぽっかりとあいた静寂さの空間をつくり出している。敷地レベルは、西側前面道路から50CM上がると、以前の建物があった場所と思われる水平面と、奥側の3Mの斜面から下がったくぼ地との、2段のレベルになっている。南側の隣地には、高い木々がない芝生と草花でつくられたお庭があり、明るさと開放感を確保できるため、杉の木の陰影が美しい模様となって敷地に倒れている。建物は東西にのびた長形の切妻屋根の平家建てである。構造的には壁が面剛性を保っており、屋根の棟梁はなく、1Mピッチに連続した登り梁が、頂部に三角形にホームコネクターで剛接合して、屋根自体の水平力を維持するとともに、キッチンや浴室などの天井=ロフト床を設けて建物全体の水平力を確保した。でもそれ以上の効果としては、連続した屋根のスリット状にトップサイドライトを設けて、室内の北側まで光を送り込み、集成材と杉板に反射したやさしい光に包まれた一体の大きな空間をつくることができたことである。軽快に浮遊した金属板と杉板の屋根とスリット窓が左官仕上げの外壁とコントラストをつくっている。敷地の高低差から生まれた東側のくぼ地の上に浮かぶように浴室や寝室を配置して、その下をピロティーとして屋根付きテラスを設けることで、谷〜くぼ地に沈み込んでくる湿気を内部に入れない工夫や、雨の日でも愛犬が外で遊べるように考えた。この家はその他に愛犬のために工夫をしている。床は桐材の厚み30mmの柔らかくあたたかい、爪がたてられる材料であるとともに、内玄関には足洗い場を設けている。外部テラスを含めて回遊性のあるプランニングとし、暖房方式もオイルボイラーによる低温水による輻射暖房パネルや床暖房(タイル部分)を採用している。湿原に近く室内外の湿度も高いため、除湿換気機器を設置した。このように、環境と馴染む技術を取り入れて、人も犬も住みやすく快適な家として、将来の終の住処として楽しく暮らしてほしい。

木造平家建て(一部RC造地階)
延床面積:118.00m²(35.69坪)
建築面積:118.00m²(35.69坪)
家族構成:夫婦+犬2匹