若林の家

(2010年3月竣工)

住宅街に並ぶ巾5.9m×奥行11.6mの21坪の敷地は、南側前面道路より1.25m高いレベルにある。計画はまず限られた予算の中で地階を設けるべきか検討することになり、駐車スペースの確保の条件において前面道路から奥へと途中まで基礎を下げる場合と全体を堀下げる場合との金額的な差があまりないために、基礎躯体(地階部分)を箱状のものとして建物全体の大きさで設けることにした。建物の配置は、南側(道路側)の駐車スペースと北側の庭を確保しながら中央に配することで密集している近隣建物との間に少しでも微気候がつくれるように工夫した。全体の空間構成としては、まずホールと階段スペースが平面的にも立体的も交差するようにして3階までアプローチするように配してそこに他の居室が結びつけているように計画している。アプローチ自体が空間に対して時間という軸を加えることで、決して広くはない家全体を様々な位置から認識しながら上へと導かれていくことで、豊かな動線と空間の展開をつくり出している。また、入口から北庭までそのまま貫通してるホールは、意識の開放と錯覚を演出することと共にここでは建物全体の蓄熱装置としてコンクリートそのままの表情を持っている。主な生活の場である3階の板間は、法規定上の限界まで天井高を確保しながら、座って暮らす工夫として窓台とテラス壁の高さを少し高くすることで落ち着きを持たしている。一般論としての住宅密集地におけるこの住宅設計のカタチが、少しでもこれから家を建てようとしている人々にとって勇気付けられるようにと建築家として願うばかりです。

木造(一部RC造)/地下1階、地上2階建て
延床面積:90.60m²(27.70坪)
建築面積:41.36m²(12.51坪)
家族構成:夫婦