下北沢の住宅

(2008年11月竣工)

作品写真(撮影:GlassEyeInc. 海老原 一己)

世田谷の下北沢駅前の商業地域にあるこの建物は、以前自営をしていた1階店舗付きの木造2階建ての長家住居を、何年にもおよぶ賃借人への立ち退き交渉をまとめた上で、ようやく造り上げた4層のテナントと3層の自宅住居をもつ新しい7階層の建築である。
計画の経緯としては、2006年10月より設計作業は進められた計画内容がまとめあげられた時に、世田谷区より2006年12月告知の下北沢駅周辺地区/地区計画の適用が施行され、建物容積および高さなどかなりの緩和規定を適用しながら全面的な計画変更をする事となった。その上、2007年6月の建築基準法改訂が施行されるために、それより前の4月には建築確認申請を提出し、そこにおいても多少の法的緩和を享受している。
その後、申請許可は6月に受理されて工事着手となるが、土工事=根切掘削をしていると、近隣の設備配管や基礎がこちらの敷地に越境していることを確認できた。近隣の建物を壊すこともできない以上、対処としてはこちら側の地下躯体部分を400mm縮小することが最善かつ、最短時間でもあり決断とした。しかし、この対処としての躯体=構造変更は建築基準法改訂が施行された状況においては、躯体の構造が計算書と異なることは許されないために、完全な構造計算のやり直しとして再度申請することになったのです。もはや周知の通り以前の申請期間より大幅に遅れて8月〜12月までの約4ヶ月半におよぶ期間での工事作業の中止という事態になってしまったのです。
それから、2007年12月下旬の工事再開〜2008年11月の工事完了・竣工となり、計画着手から完成まで計2年という歳月をかけたこの建物は、様々な時代での法的条件をクリアしながら施主の要望を存分に吸収して完成に漕ぎ着けた、私にとっては思い出深い設計となった。
もちろん、この建物が下北沢駅周辺地区/地区計画の緩和適用建物の第1号であることが下北沢、世田谷区としてどのような回答として扱われるのか最も興味があることだ。

地下1階・地上6階建て(RC+S造)
延床面積:536.62m²(162.32坪)
建築面積:97.49m²(29.49坪)
敷地面積:132.05m²(39.94坪)
家族構成:母親+息子+息子夫婦